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平成30年税制改正大綱

 

 

平成291214 日に、自由民主党および公明党による平成30 年度税制改正大綱が公表されています。
少子高齢化を克服し経済成長を確固なものとすること、誰もが生きがいを感じられる「一億総活躍社会」を作ること、を基本的な考え方として掲げ、「生産性革命」「人づくり革命」「働き方革命」の3つの革命を税制面で後押しするとしています。

 

が、そんな基本的な概念とは裏腹に注目されているのは、①個人所得税における給与所得控除と基礎控除の見直し、②たばこ増税、③環境税の創設、④観光税の創設などでの、増税項目です。

 

少し概観してみましょう。

 

①の個人所得税については、サラリーマンの必要経費控除ともいわれる給与所得控除が10万円減額され、その代わりに基礎控除が10万円増額されました。とても自民党、いやお役人らしい作戦ですね。片方の控除を減らす(増税)一方で、もう片方の控除を同額増や(減税)して、影響がないですね、というように見せる。その陰で、850万円以上の給与所得控除の上限を引き下げて全体としては増税とするという。

 

要するに一番取りやすいサラリーマンの、しかも増税の批判が出にくい高所得者への増税ですね。サラリーマンの必要経費控除が多すぎるというのは理屈が通りやすいので、しばらく給与所得控除と基礎控除をいじりながら実質増税という作戦が続くような気がしますね。

 

②も、①と同様の取りやすいところからとる増税ですね。平成30101日から1本あたり1円ずつ3段階に分けて増税するという、ダルマさんが転んだ方式です。一度のインパクトを大きくすると喫煙をやめてしまう人が増えて結局税収が増えない可能性があるので、じわじわ行こうということですね。これもとてもお役人さんらしいですね。

 

③の環境税というのは、「次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成 31 年度税制改正に おいて、森林環境税(仮称)(平成 36 年度から年額 1,000 円を課税)及び森林環 境譲与税(仮称)(平成 31 年度から譲与)を創設する」というものだそう。なるほど、「環境」もマジックワード。環境保全のためと言われると増税であっても説得力があります。

 

④の観光税は、「平成 31 年1月7日以後の出国旅客に定額・一律(1,000 円)の負担を求める 国際観光旅客税(仮称)を創設する」というもの。外国人からということであれば、日本国民は文句を言いません。と思いきや、単に出国する日本人からも徴収するそう。なんでやねん。理由は出国ゲートの自動化等にも使うため。人件費削減して経費が浮くのに何で増税?しかも1回利用するのに1,000円は高すぎるだろ!っとよく海外に出かける私なんかは思いますが、あまり通常は海外へ行く頻度は高くないので、世論全体としてはスルーでしょうね。さすがです。しかも税金は飛行機のチケットに上乗せして徴収するということです。空港で現金で支払わされたら皆さん怒りだしそうですが、そこもさらりと回避していますね。増税の匠の技です。さすがです。

 

 

 

上記のような個人に関する増税にやはり注目が集まるところですが、法人税関連でも政策的な税制がとられており、給与労働者の所得拡大を即すべく、所得拡大促進税制が条件を変えて継続されています。大企業に対しては、給与要件だけでなく、設備投資要件でも、減税を受けられる可能性がある制度になっているので、もはや所得拡大促進税制と呼ぶべきなのかという感はありますが…。

 

その他では、収益認識に関する会計基準の公表を受けて、収益認識時の価額及び収益の認識時期が法令上明確化され、返品調整引当金制度及び長期割賦販売等における延払基準が廃止となります。税務計算上、長期割賦販売における延払基準が廃止されると、入金前に課税されることになり、対象となる取引を行っているにとっては資金繰りへの影響が相当ありそうです。

 

また、ここ数年急ピッチで対応を進めてきた国際税務におけるBEPS行動指針への対応ですが、平成30年税制改正大綱では、国内所得の源泉である恒久的施設(PE)の範囲の見直しが行われています。詳細は不明ですが、これまでPE外の施設がPE判定されるということも起こりうるため動向に注視していく必要がありそうです。