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IFRSと日本基準の違い(リース会計)

IFRSで、リース会計基準の問題点や変更の必要性が議論されていて、変更されつつあるという状況をなんとなく知っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

実際、IFRSのリース会計基準が変わりつつありますので、その流れを押さえつつ、その中で日本基準との差異をとらえていくのが、理解しやすいと思います。

現在のIFRSのリース会計基準の変更のステータスですが、IAS 17号(現行)が改訂され、IFRS 16号(新)が公開されており、201911日以降開始する事業年度から適用されることが決まっています。

 

日本の現行リース会計基準はIAS17号(IFRSの現行リース会計基準)を意識して、2007年に改訂されたものですので、両者の差異は大きくはありません。

日本のリース会計基準が変更される前は、特に所有権移転外ファイナンスリース取引に賃貸借処理が適用できる(売買処理に準じたBS情報を注記する)点などに国際的な会計基準との間に大きな差異が見られていましたが。余談ですが日本のリース会計基準が独特であるという「迷信」が外国では蔓延っていて説明に窮した経験があります。以下に示す通り、現時点では間便法以外、大きな違いはないといってもいいのですが。

 

【現行基準(IAS17号)と日本基準の違い】

 

IFRSのリース会計基準は、IAS17号からIFRS16号に変更されますが、まずはIFRSの現時点のリース会計基準(IAS17号)と日本基準のリース会計基準の違いをみておきましょう。

 

  1. AS 17号(現)においては、IFRSも日本基準も、一定の基準(ノンキャンセラブル、フルペイアウト)で、取引を選別して取引ごとに賃貸借処理か売買処理かが決められるという点に相違はありません。細則主義の側面を持つ日本基準にはファイナンスリース取引の判断のための数値基準が用意されていますが、原則主義のIFRSにはそのような数値基準は示されていないという違いはありますが。
  2. 日本基準には、ファイナンスリース取引に係る間便法が基準額とともに明記されています(300万円以下のファイナンスリース取引は賃貸借取引に準じた会計処理を行うことができる)が、IFRSにはそのようなものはありません。そのため、IFRSでは少額なリース契約であっても売買処理される可能性が高いです。現行AS17号との比較では、この点が一番大きな違いといえます。

 

【IAS 17号(現)における問題点】

 

せっかく日本基準がキャッチアップしたIAS17号ですが、以下のような問題点が指摘され、それらの問題点を解消するために、今回改訂されIFRS16号となりました。

  • リースに関する資産・負債をオフバランスにするため、賃貸借処理が適用できるよう契約条件を調整したリース契約が横行した。この結果、リース取引のオフバランス取引が増えていき、特に負債側、リース料の支払義務がオフバランスとなっていることが問題視されていた。オペレーティングリースであっても、契約に伴う将来のキャッシュアウトをともなう義務があるのだから、BS上負債として計上すべきであるとの考えによるものである。
  • リース取引には、割賦販売のような取引形態から、純粋な賃貸借(レンタル)取引まで、連続的に様々な取引形態が存在している。そのため、オペレーティングリース取引(賃貸借処理)か、ファイナンスリース取引(売買処理)か、という2択で、経済実態を会計が表現するには限界がある。

 

【IERS 16号の概要】

 

そのような課題(問題点)を克服するために、見直されたリース会計基準がIFRS 16号です。ポイントは、

ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引に区分することはせず、原則としてすべてのリース取引について「使用権資産」を資産として計上し、それに見合う負債をオンバランスするということです。

つまり、資金調達をして使用権資産を取得したのと同様の会計処理をするということを要求しています。

(ただし、IFRSでも重要性の考え方はあるので、重要でないリース取引、少額なリース契約や短期のリース契約については、簡便的な処理が可能であるしています)

使用権資産が、新リース基準のポイントです。IAS17号がIFRS16号に変わると、会計処理は以下のように変更されます。

例1)

現行基準におけるファイナンスリース取引。例えば、新品価格の95%をリース料として支払い、リース後は返却するといった契約(中途解約は不能)

IAS17号(現行基準)では支払リース料総額を現在価値にを割り引いて資産計上し、減価償却を行います。IFRS16号(新基準)でも原則売買処理ですので、支払リース料総額を現在価値にを割り引いて資産計上し、減価償却を行うという会計処理方法に変更はありません。

例2

現行基準におけるオペレーティングリース取引。例えば、新品価格の30%をリース料として支払う契約(中途解約不能)

 

IAS17号(現行基準)では、賃貸借処理、すなわち支払リース料を費用処理していますが、IFRS16号(新基準)では、支払リース料総額を現在価値に割り引いて資産計上し、減価償却を行います。支払リース料総額は、新品価格の30%分だけですが、その額で対応年数分の使用権(資産)を取得したという考え方によるためです。