医療法人特有の開示

 

医療法人と関係事業者(いわゆるメディカルサービス法人を含む)との関係の適正化を目的としたそれらの取引関係の可視化要請に応えるべく、「関係事業者との取引」について、貸借対照表等への注記として記載するとともに、「関係事業者との取引の状況に関する報告書」として事業報告書等の一部として貸借対照表等とは別に都道府県知事に提出することが、平成3041日以降開始する事業年度より、医療法人に義務付けられました。(医療法第51条第1項)

例えば、医療法人の役員の経営する会社から不動産を借りていたり、薬や機械をメディカルサービス法人を経由して仕入れているような場合には、開示が必要になる場合があります。

 

【関係事業者の範囲】

関係事業者とは、当該医療法人と開示すべき基準以上の取引を行っている以下のような者又は法人をいいます。

① 当該医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族)

② 当該医療法人の役員又はその近親者が代表者である法人

③ 当該医療法人の役員又はその近親者が株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている法人

④ 他の法人の役員が当該医療法人の社員総会、評議員会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

⑤ ③の法人の役員が他の法人(当該医療法人を除く。)の株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

 

【開示すべき内容】

開示すべき内容な以下のとおりです。開示事項は関係事業者ごとに記載しなければなりません。

① 当該関係事業者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の会計期末における総資産額及び事業の内容

② 当該関係事業者が個人の場合には、その氏名及び職業

③ 当該医療法人と関係事業者との関係

④ 取引の内容

⑤ 取引の種類別の取引金額

⑥ 取引条件及び取引条件の決定方針

⑦ 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高

⑧ 取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

ただし、関係事業者との間の取引のうち、次に定める取引については、報告を必要としません。

イ 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引

ロ 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

 

【開示すべき取引の基準】

開示すべき取引は以下の基準以上のものになります。

① 事業収益又は事業費用の額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業収益の総額(本来業務事業収益、附帯業務事業収益及び収益業務事業収益の総額)又は事業費用の総額(本来業務事業費用、附帯業務事業費用及び収益業務事業費用の総額)の10パーセント以上を占める取引

② 事業外収益又は事業外費用の額が、1千万以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業外収益又は事業外費用の総額の10パーセント以上を占める取引

③ 特別利益又は特別損失の額が、1千万円以上である取引

④ 資産又は負債の総額が、当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占め、かつ1千万円を超える残高になる取引

⑤ 資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

⑥ 事業の譲受又は譲渡の場合、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

 

【開示例】

以下は運用指針に載せられている注記例です。

「関係事業者との取引の状況に関する報告書」については、厚生労働省医政局より出されている「医療法人の計算に関する事項について」で規定されていますが、報告書の様式は、貸借対照表等における注記例と同様となっています。