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仮想通貨の会計処理

平成30214日、東証マザーズのメタップス社が約1か月遅れで第1四半期報告書の提出を完了しました。平成30115日に同社から開示された「2018 年8月期第1四半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出及び承認のお知らせ」によれば、韓国の連結子会社が行ったICOの会計処理に関して、監査法人の四半期レビュー手続き開示等の検討に時間を要するためというのが主な理由でした。

ICOInitial Coin Offering)は、新規株式公開によって資金を調達するIPOInitial Public Offering)になぞらえたもので,トークンを発行して仮想通貨を対価として投資家から資金を集める手法のことで、現時点ではその会計処理は定められていません。

同社はIFRSによって連結財務諸表を作成している会社ですので、リスクや会計処理については四半期報告書でもかなり詳しく開示されていますし、第1四半期決算説明資料でも以下のようにとてもわかりやすくまとめられてます。

ICOInitial Coin Offering)に関する会計処理:

当社子会社で実施したICOでは、トークンを発行いたしました。株式発行とは違い、トークンの販売として取り扱われるため、最終的には収益として認識されます。ただし、当四半期ではIFRS15を準用し、ICOの目的を実現するまでは一時的に負債計上し、今後その目的が実現されるタイミングで収益計上する予定です。

ICOで発行したトークンの自社保有分の取り扱い:

ICOで発行したトークンの一部は、自社保有分として割り当てております。保有するトークンに関しては、無形資産として取扱い、簿価をゼロとして認識しています。なお、トークンについては当社子会社が運営する仮想通貨取引所に上場しており、既に売買が行われています。

これが同社グループが採用したICOの会計処理です。

 

この四半期においては、ICOに関する収益は計上されませんでした。四半期報告書の重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断/収益認識には、「…IAS18号「収益」では収益を確実に測定可能になった時点で認識することを要求しているため、20171130日に終了する第1四半期連結累計期間において収益を認識しておりません。…」とあり、測定の確実性が収益認識のネックであったことがうかがえます。

 

非常にデリケートな問題ですので、詳細な情報なしに会計処理の妥当性についてコメントすることは避けなければならないので、本稿ではなるべく開示されている文言をそのまま使いました。

とても開示の充実している会社なので、HPへ行って開示資料を読んでみると面白いと思います。いろいろな雰囲気を感じとることができると思います。

 

ちなみに、会計基準を作る側の対応状況はというと、昨年の平成29126日に企業会計基準委員会(ASBJ)が、実務対応報告公開草案第53号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」を公表し広くコメントを募集し、このほど、コメントの募集期限が終了。平成30220日そのコメントを公開し、222日に仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する公開草案に寄せられたコメントへの対応を協議したという段階で、未だICOへの対応は明らかにされていません。