第4回 5つのステップの解説~ステップ2:契約における履行義務を識別する~

今回は5つのステップの2つめである履行義務の識別について解説します。

 

(概要)

前回は最初のステップとして「顧客(=相手方)との契約(=約束)を識別」しました。次のステップでは、「履行義務を識別」します。「履行義務」とは、契約の内容として具体的にどのようなモノやサービスを相手に提供するかどうかのことをいいます。例えば、レストランで食事をする場合は、「お店が客に食事(モノ)を提供すること」が履行義務となります。このため履行義務の識別とは、顧客に提供するモノやサービスを具体的に特定することといえます。

 

(複数のモノやサービスがある場合)

ひとつの契約に複数の履行義務が含まれている場合があります。例えば、自動車を購入した際に初回の車検までの検査やオイル交換サービスが含まれていることがあります。この場合は、複数のモノやサービスが単独でも利用できる場合は別々の履行義務とします。

一方で、複数のモノやサービスが一体としてでないと利用できない場合はそれらをまとめてひとつの履行義務として扱います。例えば、家を建てる際に土地の造成と建物の建設をひとつの契約として結んだ場合は、土地の造成のみでは家に住むという目的を達成できず利用できませんのでまとめてひとつの履行義務とします。

 

(保証)

モノやサービスに対して保証を付ける場合があります。例えば、家電製品には保証書が入っていて購入後1年間は壊れても無償で修理することが一般的です。これも厳密には別の履行義務となりますが、会計基準ではその内容が単純に購入時の仕様を保証するのみである場合は履行義務に該当しないものとして、引当金として扱い将来の保証に要する費用を別途計上することとしています。

一方で、その保証が長期間であったり、有償で購入は任意であったりするなどの場合は単純な保証とはいえないことから別のサービスであるとして、履行義務に該当することになります。

 

(本人と代理人)

派生論点として「本人か代理人か」というものがあります。これは最終的な売上高を総額表示(=売上高と売上原価を両建計上)するか、純額表示(=売上高と売上原価を相殺する)するかという論点です。

具体的には、自分が在庫を保有していたり、価格決定権を持っているなど直接的に責任をもっている場合は総額表示となります。一方で単純に誰かの代理で取り次いでいるだけで在庫も持たずに値段もすでに決まっている場合は純額表示として取り扱うことになります。このため、問屋などで在庫を持たずに商社的な取引をしている場合はこの会計基準に基づくと売上と原価の差額を手数料として純額計上することになる可能性が高いといえます。現状の総額表示している場合は注意が必要です。

 

次回は、「ステップ3:取引価格を算定する」を解説します。

 

 

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