第5回 5つのステップの解説~ステップ3:取引価格を算定する~

今回は5つのステップの3つめである取引価格の算定について解説します。今回は主に「売上高がいくらになるか」のような金額面の論点となります。

 

(概要)

会計基準では取引価格を以下のように定義しています。

「取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(ただし、第三者のために回収する額を除く。)をいう」(収益認識に関する会計基準第47項)。難しく書いてありますが、モノやサービスをお客さんに提供した際にどのくらいの代金をもらえるか、その金額が取引価格(=売り上げるべき金額)ということといえます。

 

(第三者のために回収する額)

上記に記載した定義に「第三者のために回収する額を除く」とありますが、これは例えば消費税が該当します。消費税は代金と一緒にお客さんからもらいますが、これは後で納税するために預かったものです。このため売上にはなりません。消費税を税抜方式で会計処理している場合は問題ありませんが、税込方式の場合は消費税部分も売上計上しているため、本会計基準適用時には当該処理が認められなくなる可能性が高いといえます。

 

(変動対価)

変動対価とは、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分をいいます。いくらになるか決まっていない取引ということです。決まっていないのは価格の場合もありますが、数量についても同様といえます。具体的に数量が決まっていないものとしては、書籍や医薬品等で販売後に自由に返品可能な契約となっている取引が該当します。従来は当該取引については返品される可能性がある部分については返品調整引当金として会計上対応していましたが、本会計基準では引当金ではなく、返品となる可能性がある部分については売上を計上せずに預り金等の負債として計上することになります。

例えば、書籍を100冊@100円で販売したが、将来5冊返品されることを見込んでいる場合、売上は9,500(95冊×@100)計上し、残額の500(5冊×@100)は負債として計上します。当然ですが原価部分についても該当する5冊分については売上原価に計上せずに資産計上することになります。

 

(その他論点)

重要な金融要素…支払が1年以上先で代金に金利相当分が含まれている場合は、当該金利と考えられる部分は売上ではないことから当該部分を調整する(=売上から控除する)ことになっています。

 

現金以外の対価…例は少ないですが代金を株式等の現金以外で支払う場合があります。その場合、取引価格は当該対価の時価とすることになっています。

 

顧客に支払われる対価…メーカーが小売店に特設スペースを設けてもらうために設置費用を負担する等でお客さんに対して支払いが発生する場合は、当該支払を売上から控除します。

 

次回は、「ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する」を解説します。

 

 

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