第1回 契約書と異なる金額で売上を計上~対価が契約書の価格と異なる場合(設例2)~

そうせい監査法人ホームページをご覧いただきありがとうございます。おかげさまで収益認識、かんたん解説!を多くの皆様にご覧いただいているようでして、「設例についてもかんたんに解説してもらえないか」というご意見を頂戴しました。

 

そこで、今回から「収益認識に関する会計基準適用指針」に記載されている設例(全部で30あります)からこれはおさえておいたほうが良いというものをピックアップし解説していきます。

なお、わかりやすく解説するため設例をシンプルにアレンジしておりますのでご留意ください。

 

1回は設例2「対価が契約の価格と異なる場合」を解説します。

 

1.前提条件

(1) A社は、製品100個を100千円で、海外のB社に販売する契約を締結した。B社の所在地国(A社は取引経験のない国である)は経済状況が混乱している。このため、当該取引に係る債権全額は回収することができないものとA社は見込んでいる。ただし、A社は、X国の現在の状況は近いうちに回復し、B社との取引によって今後当該国での営業活動に役立つ可能性があると考えている。

 

(2) A社は、上記(1)の現状評価及び以下の会計基準を考慮し、B社から対価の全額ではなく、その一部を回収することを見込んだ。

・会計基準第19(5)の要件…顧客からの対価の回収可能性が高いこと

・会計基準第47項…取引価格は販売した商品等と引き換えに受け取れるであろう対価の額とすること

・適用指針第24(2)…顧客との契約時に価格を引き下げるという意思

以上より、A社は、取引価格の100千円は固定対価ではなく変動対価であると判断し、当該変動対価として40千円が回収可能であると判断した。

 

(3) A社は、B社の対価を支払う意思と能力を考慮し、当該国の状況を考慮した上で、B社から40千円を回収する可能性は高いと判断した。したがって、A社は、会計基準第19(5)の要件が、変動対価の見積額40千円に基づいて満たされると判断した。

 

2.仕訳例

(1)販売時

 

(借方) 売掛金   40    (貸方)  売上高   40

→回収可能な金額で売上計上することになります。

 

3.解説

 

本設例は今回の収益認識基準の概念を最も端的に表しているものといえます。つまり、契約金額(上記では100千円)で売上計上することが、従来は大前提であったのに対し、当初から回収する見込みがなく、またその意思もないような取引については、実際に回収可能な金額で売上計上することになるということです。

ちなみに、上場企業の場合は与信管理等の内部統制が有効に機能しているのであればそもそも上記設例のような取引は社内決裁が難しく実際にはレアケースであるといえるかもしれません。

 

 

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