第2回 追加注文があった時の売上計上方法の明確化~契約変更後の取引価格の変動(設例3)~

本日も、難解な収益認識基準を、設例を用いてかんたんにわかりやすく解説していきます。

今回は設例3「契約変更後の取引価格の変動」です。

これは複数の商品について価格をまとめて決めている場合に、事後的に価格変更があった場合どのように売上を修正していくかという設例になります。この場合は収益認識基準第31(1)に従い、契約変更時に新たに契約を締結しなおしたものと仮定して処理します。すなわち既存契約の未履行部分+追加部分を新規の契約としてとらえなおすということになります。

適用指針の設例は正確性を期するためやや難解になっていますので、もう少し単純化したもので解説してきます。

 

1.前提条件

(1) A(3月決算)X110月に商品X及び商品Yを販売する契約をB社と締結。X12月に、Y4月に引き渡すことになっている。なお、X及びYの独立販売価格(単独で販売する場合の価格)は同一である。

(2)契約価格はXYあわせて10,000である。

(3)X21月に上記(1)に加えて商品Z7月に引き渡すよう契約変更を行い、契約金額を4,500増額させた。なお、Zについても独立販売価格はX及びYと同一であった。

 

2.会計処理

(1)X112月(商品Xの引渡時点)

(借方) 売掛金   5,000    (貸方)  売上高   5,000

X及びYの独立販売価格が同一であるため、契約価格10,000を均等に配分した5,000で商品Xの売上を計上する。

 

(2)X21月(契約変更により商品Zを追加)

仕訳無し

 

(3)X2年4月(商品Yの引渡時点)

(借方) 売掛金   4,750    (貸方)  売上高   4,750

→契約変更時に残存履行義務(商品Yの引渡)と追加部分(商品Zの引渡)で新たな契約を締結したと仮定するため、商品Y契約価格5,000(当初契約価格10,000-商品X販売価格5,000)+商品Z追加契約4,5009,500で新たな契約を締結したものとする。

また、商品YZの独立販売価格が同一であるため9,500を均等に配分した4,750で商品Yの売上を計上する。

 

(4)X27月(商品Zの引渡時点)

(借方) 売掛金   4,750    (貸方)  売上高   4,750

→商品Yの計算方法と同様である。

 

3.解説

決算期を超えて契約価格の変更が事後的に発生した場合、従来は会計基準上明確な規定が存在しておらず、実務においては業界の取引慣行や従来からの方法に基づいて会計処理を行っていたかと思います。

収益認識基準においては、事後的な変更は契約を新規に締結しなおしたと仮定した上で、将来に向かって修正を行っていく(=過去の修正は行わない)ということが明確化されました。既存の実務が収益認識基準の考え方と合致するものかどうか再確認を行うことが必要です。

 

4.参考

収益認識基準第31項より抜粋

契約変更が前項の要件を満たさず、独立した契約として処理されない場合には、契約変更日において未だ移転していない財又はサービスについて、それぞれ次の(1)から(3)のいずれかの方法により処理する。

(1) 未だ移転していない財又はサービスが契約変更日以前に移転した財又はサービスと別個のものである場合には、契約変更を既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する。残存履行義務に配分すべき対価の額は、次の①及び②の合計額とする。

① 顧客が約束した対価(顧客から既に受け取った額を含む。)のうち、取引価格の見積りに含まれているが収益として認識されていない額

② 契約変更の一部として約束された対価

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