今回も難解な収益認識基準について、かんたん!わかりやすく!をテーマにポイントを絞って解説していきましょう。よろしくお願いします。
今回は設例6の「インストール・サービス」です。第5回では売上計上単位を分けていましたが、今回は複数の「履行義務」(=モノやサービスを相手に提供すること)をひとまとめにする場合の解説です。
1.前提条件
(1)ソフトウェアを制作販売しているA社は、顧客であるB社に対して以下の財又はサービスを提供する契約を締結した。
・ソフトウェア・ライセンス
・上記ソフトのインストール・サービス
・保守契約(アップデートや電話メール等による不具合サポート)
(2)各内容はA社によってそれぞれ単独で販売されているものである。なお、当該ソフトは買い切りのものでありアップデートやサポートが無くても単独で使用できるものである。
(3)インストール・サービスは他社も手掛けているものであり、当該ソフトのカスタマイズ等は不要である。
2.判断
(1)A社は当該履行義務が別個のものであるかどうか、収益認識基準第34項に基づいて評価する。
(2)当該ソフトは買い切りでアップデートやサポートが無くとも機能すること及びインストール・サービスを他社から容易に購入できることから、第34項(1)に該当し、単独の履行義務となると判断した。
(3)次に当該ソフトが第34項(2)に該当するか検討した。
・インストール・サービスについては、他社から入手可能であり、またカスタマイズ等も不要であることから、当該サービスがソフトそのものに著しい影響を与えるものでない。
・保守契約についても、それが無かったとしても単独で使用できるものであることからこちらもソフトそのものに著しい影響を与えるものでない。
(4)以上より前述の3点についてそれぞれ履行義務を識別し、売上計上単位を分けることとした。
3.解説
上記設例においてはそれぞれの履行義務が別途調達可能であること、またそれぞれが高い相互性や関連性を有していないことから、単独で売上計上していくことになります。一方で、例えば相互関連性が高い場合とは、既存のソフトを購入するけれども自社の他のシステムとインタフェースさせるため大幅なカスタマイズを伴うインストール・サービスがあった場合は、ソフトと相互関連性が高いため、ソフトとインストール・サービスをあわせて単一の履行義務とする(=ひとつの売上計上単位とする)ことになります。
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