第7回 売上を期間収益として計上する場合その2 ~履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有している場合(設例8)~

設例編も佳境に入ってきました。なるべくかんたんにわかりやすく解説していきますので本日もよろしくお願い致します。

 

7回は設例8「履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有している場合」です。今回も第6回と同様に論点は売上の計上時期です。ある契約条件に基づくと売上を計上するタイミングが一時点なのかそれとも一定期間にわたるのかという点です。

 

1.前提条件

(1)不動産会社であるA社は、住宅団地の開発を行っており、団地のある区画についてB社と販売契約を締結した。

(2)契約上B社は返金不要な預け金をA社に支払っており、更に当該区画への建物建設中に中間金も支払うこととなっている。なお、A社が当該区画を別の顧客に使用させることは実質的に禁止されている条件がついている。また、契約上A社における債務不履行を除きB社が契約を解約することはできない。

(3)B社が中間金支払い不能で債務不履行となった場合、A社が建設を完了しているときは、契約で決まった金額全てを受け取る権利を有している。

(4) 開発業者が契約に基づく義務を履行していることを条件に、顧客に債務の履行を求める権利を開発業者に与えるとした判例が存在している。

 

2.判定

(1)A社は収益認識基準第38(3)(6回4.参考を参照)に該当するか検討を行った。

(2)契約によりA社は他の顧客に使用させることが禁止されているため、別の用途への転用ができない資産(=区画)が生じていると判断した(38(3)①に該当)

(3)契約上B社が支払い不能となった場合に、契約で決まった金額を受け取る権利があり、またそのような判例も存在することから、対価を収受する強制力のある権利を有しているものと判断した(38(3)②に該当)

(4)以上より、基準第38(3)の要件を満たすことから、売上計上時期は一定期間にわたるものであると判断した。

 

3.解説

本件も前回と同様に売上計上時期が一時点か一定期間なのか判定するための設例となっています。土地の開発契約においても、前回と同様にポイントは第38(3)②の「対価を収受する強制力のある権利を有していること」となります。契約上そのような条項があるかどうかが売上計上時期を決める基準になってきます。

 

 

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