第9回 成功報酬の計上方法 ~変動対価の見積り(設例10)~

みなさんこんにちは。難しい収益認識基準について、設例を通してかんたんわかりやすくお伝えしています。よろしくお願いいたします。

 

今回は設例10「変動対価の見積り」です。収益認識基準が適用されることでインパクトが大きい事項のひとつにこの変動対価という考え方があります。

収益認識基準第50項において、「顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分を変動対価という」と規定されており、金額のうちいまだ固まっていない部分ということになります。

その範囲は非常に広く、収益認識適用指針第23項に、値引き、リベート、返金、インセンティブ、業績に基づく割増金、ペナルティー等の形態により対価の額が変動する場合や、返品権付きの販売等として例示されています。

今回は比較的シンプルなインセンティブ(割増金)の設例を解説します。

 

1.前提条件

(1)A社は建物建設契約をB社と締結した。この契約は一定の期間にわたり充足される履行義務と判断した。

(2)対価は5,000,000千円だが、完成引渡が工期より1日遅れるごとに20,000千円減額をされ、1日早まるごとに20,000千円増額される。

(3)さらに建物引渡時に、検査を行い契約で定めた方法で点数が付けられる。一定の点数を超えた場合、A社は300,000千円の報奨金を受け取る権利を得ることができる。

 

2.取引価格の算定

(1)A社は売上計上の基礎となる取引価格算定の際に、変動対価部分について収益認識基準第51項におけるどの方法を採用するか検討を行った。

①まず、完成引渡時期による増減額の方法としては、期待値による方法を採用することとした。これは完成予想時期を複数のパターンで予測でき、かつその確率がほぼ同水準であると推定できるからである。

②次に、点数付与による報奨金については、最頻値による方法を採用することとした。これは、発生するパターンが報奨金を受け取る場合と受け取れない場合の2つしかないため、期待値によるとそのいずれのパターンとも異なる金額となってしまうからである。

 

3.解説

本設例は変動対価の算定方法についての設例です。期待値法と最頻値法の特徴を考えたうえで、予想されるパターンが複数ありその可能性が概ね等しい場合は期待値法が適しており、パターンが限定的な場合は最頻値法が適しているということになります。変動対価にはこれ以外にも個別案件ごとに様々な条件がありますので、より実態に適した算定方法をとることが必要です。

 

 

4.参考

収益認識基準第51

 

変動対価の額の見積りにあたっては、発生し得ると考えられる対価の額における最も可能性の高い単一の金額(最頻値)による方法又は発生し得ると考えられる対価の額を確率で加重平均した金額(期待値)による方法のいずれかのうち、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を用いる。

 

 

収益認識基準についてお困りごとがあれば、info@sousei-audit.or.jpまでご連絡ください。担当者(大高)から直接ご連絡させて頂きます。