第11回 値引きが予想される場合 ~価格の引き下げ(設例12)~

今回もポイントを絞ってかんたん丁寧に解説していきます。お付き合いよろしくお願いします。

 

今回は設例12「価格の引き下げ」について説明します。変動対価シリーズの第3弾です。販売した後に価格の引き下げ(=値引き)を行うことが予想される場合の処理方法です。みなさんお気づきかと思いますがこれも変動対価ですので当初売上高の調整を行います。では具体的にどう処理するか説明していきます。

 

1.前提条件

(1)A社は、卸売業者であるB社に製品を200千円で200個販売する契約を締結した。B社が最終顧客にスムーズに販売を行うため、慣行的にA社は事後的に価格の引き下げを行っている。このため当該契約は変動対価に該当する。なお、A社は変動対価について期待値法により見積もることを決定した。

(2)当該製品は陳腐化リスクが高く、その値引き幅は過去において20~60%と大きく変動しており、現況を勘案すると15~50%の幅で値引きする必要となる可能性があると考えている。

(3)これらを考慮してA社は期待値法により30%の値引きを行うこと見込み、28,000千円(=@200千円×(100-30%)×200個)を変動対価と見積った。

(4)次に当該変動対価を取引価格に含めて売上高として計上できるどうか判断した。

まず、当該製品は陳腐化リスクの影響を受けやすくA社の影響力の及ばない要因の影響を受けやすく、またその幅も大きいことから計上した売上高の著しい減額が事後的に発生しない可能性が高いといえないことから、当該変動対価を取引価格には含められないと判断した。

一方で、現況を勘案した場合は最大で50%の幅で値引きがなされる可能性が高いと判断していることからA社は、20,000千円(=@200千円×(100-50%)×200個)を取引価格に含めた場合は、売上高の著しい減額が事後的に発生しない可能性が高いと判断できることから、20,000千円を売上高とすることとした。

 

2.会計処理

売上高の計上

(借方) 売掛金   20,000    (貸方)  売上高    20,000

→上記前提条件より。

 

3.解説

 

変動対価の計上条件として、事後的に売上高の戻入が起きない可能性が高い(=解消される時点までに計上された収益の著しい減額が発生しない可能性が高い)ことが求められています。本設例ではその可能性が高いといえない場合の取り扱いを示しています。その場合は変動対価の取りうる範囲の最も少ないもの(上記設例でいえば50)で売上高を計上することになります。これで計上すればとりあえず事後的な売上高の減額は起きないことになるので保守的な処理といえます。実務上のポイントは変動対価の幅をきちんと説明できるかどうかかと思われます。過去の取引事例や最近の市場の傾向等から説明していくことが必要でしょう。

 

 

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