第14回 値引きの配分 ~値引きの配分(設例15)~

本連載をご覧いただきありがとうございます。わかりやすさを重視してなるべくかんたんな解説を心がけていきます。よろしくお願いいたします。

 

今回は設例15「値引きの配分」について説明します。複数のモノやサービスをセット販売する際に全体から値引きを行うことがあります。売上の計上時期が異なる場合、売上額を確定させるためその値引きを個別のモノやサービスにどのように配分する必要があります。本設例はどのように配分するかを解説したものです。

 

1.前提条件

(1)A社は、製品甲、乙、丙を以下の価格(単位:千円)で販売している。

 

 

単独で販売する場合

セット販売

80

120

110

90

合計

280

 

(2)A社は甲乙丙をセットで210千円販売する契約をB社と締結した。

 

2.取引価格の配分

(1)甲乙丙のセットは全体で70千円の値引き(280210)が含まれている。収益認識基準第70項の原則に従うと単独で販売する価格(独立販売価格)の金額比で按分することになる。しかし、A社は甲乙を組み合わせて販売しており、そこには70千円の値引き((80110)120)が含まれている。このため収益認識基準第71項により値引きは甲乙に配分することとした。

(2)甲乙を同時に販売する際は、単独で販売する価格合計190千円から70千円の値引を控除した120千円で売上高を計上する。

(3)別々に販売する場合は、甲と乙の単独で販売する価格の金額比で按分する。甲は80千円から29千円の値引き(70÷190×80、端数切捨)を控除した51千円で売上計上する。乙については、110千円から41千円の値引き(70÷190×110、端数切上)を控除した69千円で売上計上する。

 

3.解説

セット販売の値引きについては独立販売価格の金額比で按分することが原則となります。但し、セット販売の一部について値引き金額が判明しているものがある場合はまずそこに優先的に値引きを配分した上で残りの値引き額を配分することになります。理論的にはあり得る方法といえますが、実務上そこまで精緻に値引きを配分していたかどうかは各社様々かと思われます。自社のセット販売の値引き処理方法について再度確認が必要といえます。

 

4.参考

収益認識基準第71

前項の定めにかかわらず、次の(1)から(3)の要件のすべてを満たす場合には、契約における履行義務のうち1 つ又は複数(ただし、すべてではない。)に値引きを配分する。

(1) 契約における別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束)のそれぞれを、通常、単独で販売していること

(2) 当該別個の財又はサービスのうちの一部を束にしたものについても、通常、それぞれの束に含まれる財又はサービスの独立販売価格から値引きして販売していること

(3) (2)における財又はサービスの束のそれぞれに対する値引きが、当該契約の値引きとほぼ同額であり、それぞれの束に含まれる財又はサービスを評価することにより、当該契約の値引き全体がどの履行義務に対するものかについて観察可能な証拠があること

 

 

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