こんにちは!そうせい監査法人大高です。本日に難しい収益認識基準をかんたん解説していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は設例16「財又はサービスに対する保証」について説明します。電化製品や自動車を購入した場合には保証がつくことが大半かと思います。収益認識基準においては、その保証についても一定の要件を満たすものについては別の履行義務として売上計上対象となる可能性があります。本設例は履行義務となる保証とそうでない保証の2種類が登場します。どう違うのか確認しましょう。
1.前提条件
(1)A社は、製品を販売とあわせて製品に対する保証を提供する契約を顧客と締結した。
(2)当該保証には以下の2種類が含まれている
・購入日から1年間にわたり製品が合意された仕様に従って機能するという保証(基本保証)
・上記保証の終了から2年間について、製品故障時の修理代や代替品への交換を無償で行うと保証(延長保証)
(3)A社は通常延長保証を付けずに製品を販売しており、延長保証を単独で販売することもある。
(4)A社は延長保証付き製品を1,050千円で販売した。なお、製品を単独で販売する場合の価格は1,000千円であり、延長保証は150千円である。
(5)基本保証によって生じるコストは20千円と見積もった。
2.保証の区分
(1)基本保証については、収益認識適用指針第34項にいう「合意された仕様に従っている」保証のみであることから、履行義務とせずに引当金として見積コストを計上することとした。
(2)延長保証については、収益認識適用指針第38項に基づき単独で購入するオプションを有していることから履行義務として取り扱うこととした。
3.会計処理
(1)製品販売時
(借方) 現金預金 1,050 (貸方) 売上高 913
契約負債 137
(借方) 製品保証引当金繰入額 20 (貸方) 製品保証引当金 20
→売上高913千円=1,050×(1,000÷1,150)
→契約負債137千円=1,050×(150÷1,150)
(2)製品販売から2年経過後
(借方) 契約負債 68.5 (貸方) 売上高 68.5
→契約負債137千円÷2年間
3.解説
製品購入時に当然ついてくるような製品保証(1年が多いと思います)については、従来と同様の製品保証引当金の会計処理がとられているため影響はありません。しかし、家電製品や自動車販売時によくみられる有償での延長保証については、別個の履行義務として売上高を配分する必要があります。このため、従来は有償保証を引当金処理していた場合は、製品販売時の売上計上額が減少する可能性があります。
4.参考
収益認識適用指針第34項
約束した財又はサービスに対する保証が、当該財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証のみである場合、当該保証について、企業会計原則注解(注18)に定める引当金として処理する。
収益認識適用指針第35項
約束した財又はサービスに対する保証又はその一部が、当該財又はサービスが合意された仕様に従っているという保証に加えて、顧客にサービスを提供する保証(当該追加分の保証について、以下「保証サービス」という。)を含む(第37 項参照)場合には、保証サービスは履行義務であり、取引価格を財又はサービス及び当該保証サービスに配分する。
収益認識適用指針第38項
第34 項から第37 項の定めにかかわらず、顧客が財又はサービスに対する保証を単独で購入するオプションを有している場合(例えば、財又はサービスに対する保証が個別に価格設定される又は交渉される場合)には、当該保証は別個のサービスであり、会計基準第32 項から第34 項に従って履行義務として識別し、取引価格の一部を会計基準第65 項から第73 項に従って当該履行義務に配分する。
収益認識基準についてお困りごとがあれば、info@sousei-audit.or.jpまでご連絡ください。担当者(大高)から直接ご連絡させて頂きます。