第17回 ポイント引当金はこう変わる ~カスタマー・ロイヤルティ・プログラム(設例22)~

今回で17回目となりました、お付き合いいただきありがとうございます。皆さん収益認識基準の理解は進んできましたでしょうか。かんたん!わかりやすくをモットーにポイントを絞った解説を心がけていきます。

 

今回は設例22「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」について説明します。いわゆるポイント制度のことで従来は付与した総ポイントに予想使用率を乗じたものをポイント引当金として計上していたかと思います。収益認識基準導入により引当金ではなく直接売上高を調整する処理に変わりました。具体的な処理方法を見ていきましょう。

 

1.前提条件

(1)A社は、販売金額の5%をポイントとして付与する制度を設けている。顧客は1ポイントにつき1円の値引きを受けることができる。

()顧客が1,000千円の商品を購入し、50,000ポイントを獲得した。なお当該商品の独立販売価格は1,000千円であった。

(3)A社は、当該ポイントのうち45,000ポイントが使用されると見込んでいることから、当該ポイントの独立販売価格を0.9/ポイント(45,000÷50,000ポイント)と見積もった。

(4)当該ポイントは、収益認識適用指針第48項より、その付与率や使用状況からみて、契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するものに該当するものであること判断し、ポイント付与により履行義務が生じると判断した。

 

2.会計処理

商品販売時

(借方) 現金預金        1,000    (貸方)  売上高       957

                                  契約負債       43

→売上高957千円=1,000×(1,000÷(1,00050千ポイント×0.9

→契約負債43千円=1,000×(45÷(1,00050千ポイント×0.9

 

3.解説

従来実務では販売時には販売金額そのものを売上高に計上し、決算において付与済みポイントを引当金に計上、ポイント使用時にはその分を売上高から控除するという実務が一般的でした。しかし、本基準が適用されると当初販売金額の時点でポイント部分に売上高を配分することになりますので、販売金額に比して売上高が減少することになります。日本の小売業ではポイント制度が広く普及しているため当該業種では大幅なシステム変更等の対応まで必要になるかもしれません。

 

4.参考

収益認識適用指針第48

顧客との契約において、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合には、当該オプションが当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するときにのみ、当該オプションから履行義務が生じる。この場合には、将来の財又はサービスが移転する時、あるいは当該オプションが消滅する時に収益を認識する。

重要な権利を顧客に提供する場合とは、例えば、追加の財又はサービスを取得するオプションにより、顧客が属する地域や市場における通常の値引きの範囲を超える値引きを顧客に提供する場合をいう。

 

収益認識適用指針第50

履行義務への取引価格の配分は、独立販売価格の比率で行うこととされており(会計基準第66 項)、追加の財又はサービスを取得するオプションの独立販売価格を直接観察できない場合には、オプションの行使時に顧客が得られるであろう値引きについて、次の(1)及び(2)の要素を反映して、当該オプションの独立販売価格を見積る。

(1) 顧客がオプションを行使しなくても通常受けられる値引き

(2) オプションが行使される可能性

 

 

収益認識基準についてお困りごとがあれば、info@sousei-audit.or.jpまでご連絡ください。担当者(大高)から直接ご連絡させて頂きます。