第18回 一時点で計上するライセンス売上 ~知的財産を使用する権利(設例23)~

難解な収益認識基準をわかりやすい設例を用いてかんたん!解説していきます。そろそろ理解も進んできたかと思います。本日もお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

今回は設例23「知的財産を使用する権利」について説明します。ライセンス販売についての設例です。ライセンスとは使用許諾のことで、ある知的財産を使用することの許可のことです。ソフトウェア等のプログラムの使用許諾が一般的です。収益認識基準においてはライセンス売上を2種類に分けて、一時点で売上計上するものと一定期間にわたって売上計上するものに分けます。本設例はそのうち一時点で売上計上するものの設例となります。

 

1.前提条件

(1)A社はB社に対して、ソフトウェア・ライセンスとそのアップデート権を販売した。

(2)当該ソフトウェアはアップデートがなくても単独で機能するものである。

(3)A社はアップデート以外にライセンス期間中に当該ソフトウェアの機能を変化させる活動を行うことは契約に定められておらず、実際にそのような活動も行っていない。

(4)販売価格は、ソフトウェア・ライセンスは1,000千円、アップデートは150千円である。

 

2.会計処理

当該ソフトウェア・ライセンスの販売を収益認識基準適用指針63項に当てはめると以下のようになる。このため、当該ソフトウェア・ライセンスは単なる使用権の販売であると判断した。このため、収益認識基準適用指針第64項に従い一時点で売上計上する。

収益認識基準適用指針第63

当該ソフトウェア・ライセンスへの当てはめ

(1) ライセンスにより顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行うことが、契約により定められている又は顧客により合理的に期待されていること。

前提条件(3)よりアップデート以外にそのような活動はない。なお、アップデートがなくてもソフトウェアは機能するため影響を与えるものではない。

(2) 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動により、顧客が直接的に影響を受けること

上記(1)に該当しないため、当然に該当しない。

(3) 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動の結果として、企業の活動が生じたとしても、財又はサービスが顧客に移転しないこと

同上

 

ソフトウェア・ライセンス販売時

(借方) 現金預金        1,150    (貸方)  売上高      1,000

                                  契約負債      150

→契約負債はソフトウェアアップデートに関するもの。実際にアップデートが提供された際に売上計上する。

 

3.解説

従来の実務では明確な会計基準が存在していない状況で、契約の内容にもよりますがライセンス売上は、売上の実現可能性等を勘案して入金時点で計上している実務が散見されました。しかし、本基準では現金主義による売上ではなく、履行義務が提供された時点で売上計上する原則をライセンスにも適用しています。上記の要件当てはめに全て該当した場合はライセンス期間にわたって売上計上し、そうでない場合は一時点で計上すると整理されました。入金時にライセンスが使用できるようになっており、単純なソフトウェア販売等の上記要件に該当しない取引については従来と同様の処理となります。従来処理を継続するのであれば契約書の文言等の確認が必要になるでしょう。

 

4.参考

収益認識適用指針第63

ライセンスを供与する際の企業の約束の性質は、次の(1)から(3)の要件のすべてに該当する場合には、顧客が権利を有している知的財産の形態、機能性又は価値が継続的に変化しており、前項(1)に定める企業の知的財産にアクセスする権利を提供するものである。

(1) ライセンスにより顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行うことが、契約により定められている又は顧客により合理的に期待されていること(第65 項参照)

(2) 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動により、顧客が直接的に影響を受けること

(3) 顧客が権利を有している知的財産に著しく影響を与える企業の活動の結果として、企業の活動が生じたとしても、財又はサービスが顧客に移転しないこと

 

 

収益認識基準についてお困りごとがあれば、info@sousei-audit.or.jpまでご連絡ください。担当者(大高)から直接ご連絡させて頂きます。