第23回 日本基準特有の処理その4 ~工事損失引当金(設例30)~

設例編もついに最後の設例となりました。皆様お付き合いいただきありがとうございました。今後も皆様の実務に役立つ設例があれば追加していきますので是非ご確認お願い致します。かんたん!わかりやすくをモットーに本日も解説していきます。

 

設例30「工事損失引当金」について説明します。解説の前に申し上げますが本設例は現行実務と変更はありません。収益認識基準適用に伴い工事契約に関する会計基準が廃止されることから、本基準に移管されたものです。念のため内容を確認しましょう。

 

1.前提条件

(1)A社はB社建物建築の請負契約(工期X1~X3)を締結した。契約金額は20,000千円であり、当初の見積原価総額は19,000千円であった。

(2)見積原価総額は、X1年度末19,200千円、X2年度末21,000千円に増加したが契約金額の変更はなされていない。

(3)A社は工事進捗度を原価比例法により算定している。

(単位:千円)

 

X1年度

X2年度

X3年度

工事収益総額

20,000

20,000

20,000

 

 

 

 

過年度発生工事原価累計額

4,800

15,120

当期発生工事原価

4,800

10,320

5,880

完成までに要する工事原価

14,400

5,880

工事原価総額

19,200

21,000

21,000

工事利益(▲は損失)

800

1,000

1,000

進捗度

25

72

100

 

 

2.会計処理(工事売上及び原価の会計処理は省略)

(1)X1年度末

工事損失引当金の計上無し

   →最終の工事利益が800千円と予想されているため引当金の計上は不要。

 

(2)X2年度末

(借方) 売上原価        280    (貸方)  工事損失引当金     280

→見積工事損失▲1,000千円に対して、当年度までで計上済みの工事損失が▲720千円(1)あるため差額を工事損失引当金として計上する。

1 見積工事損失▲1,000千円×工事進捗度72%=▲720千円

 

(3)X3年度末

(借方) 工事損失引当金        280    (貸方)  売上原価     280

→工事が完了し工事損失がすべて計上されたため、前期計上した工事損失引当金を全額戻入れる。

 

3.解説

上記設例を確認頂ければわかりますが従来実務と変更はありません。このため工事損失引当金については引き続き従来処理を継続することができるといえます。

 

収益認識基準についてお困りごとがあれば、info@sousei-audit.or.jpまでご連絡ください。担当者(大高)から直接ご連絡させて頂きます。